ベルリンを拠点とし、アイデンティティの不確実性やメディアや既存の社会的なパターンなどとの関係性をテーマに映像やインスタレーション作品を発表している石井麻希氏の展示が2つ開催中です。
『花椿』の本誌テーマ「ケア」にもつながる、自己とは何者なのか? 自己と他者との関係性、この消費社会の枠組みを問い直すきっかけとなる展示です。
年末年始にぜひ足を運んでみてください。
CAPSULE(東京・池尻大橋)で開催中のソロエキシビション「あなたに必要のないものはわたしの宝」は、理容椅子と鏡を使用し会場を理容室に見立て、音楽と映像で演出を行うインスタレーション。情報過多な現代社会において、人間がいかに自分と向き合うことができるかを模索してきた石井氏が、幼少期に自分が女性であるというジェンダーに迷いを感じながら理容室で髪を切っていた経験をもとに、鑑賞者が鏡の前に置かれた理容椅子に座ることでジェンダーフリーといったさまざまな境界線について、”自分”とは何者なのか?と、自己の内面を考えるきっかけを与えられるような作品です。感情の矛盾をテーマにした映像作品、内面を見つめるインスタレーション、祈りのような音楽が呼応する空間作品が展示されています。
石井麻希 「あなたに必要のないものはわたしの宝」
会場:CAPSULE
住所:東京都世田谷区池尻2-7-12 B1F
会期:2024年12月14日(土)– 1月12日(日)
*土日のみ開廊 12:00-19:00(1月4日、5日除く)
https://www.capsule-gallery.jp/index.php
parcel(東京・馬喰町)で開催中の⽯井⿇希と⽯⽥恵嗣による⼆⼈展「Shake Hands」も開催中です。本展は、異なる⽂脈と⼿法で表現するアーティストが同じ空間に出会い、視覚的な共鳴と対話を試みる場です。
本展での石井氏の作品は、雑誌『3.3333333….x3』展⽰し、ベルリンの動物園や樹⽊をテーマにした作品が紹介され、⼈間中⼼主義を超える視野をもたらすと同時に、⽇常における観察⾏為の再構築を促します。
⽯⽥氏は、広島を拠点に、童話や絵本といった出版物など、広く共有されている物語形式を出発点に、個⼈の体験や時代に関わらず普遍的な物語性を追求しています。彼が描く異世界の⾵景は、単なるファンタジーを超え、現実と⾮現実の境界を曖昧にし、観る者に新たな時間性と空間性の認識を促すものです。彼の作品は、ジャンルを問わず様々な時代の物語が交差する場を作り出し、絵画の内側にもうひとつの空間を想起させます。
二人の作品によって、異なる時空や物語を超えた視点が交わるこの展示空間において、わたしたちは自身の認識の境界を見つめ直し、現代におけるアートの根源的な意義を再認識できる展示となるでしょう。
⽯井⿇希と⽯⽥恵嗣による⼆⼈展「Shake Hands」
会場: parcel
住所:東京都中央区⽇本橋⾺喰町2-2-14 まるかビル 2F
会期:2024年12⽉14⽇ (⼟) ‒ 2025年1⽉19⽇ (⽇)
*⽉・⽕・祝⽇休廊 / 12 ⽉23 ⽇-1 ⽉7 ⽇冬季休暇
https://parceltokyo.jp/exhibition/shake-hands/
Maki Ishii
ベルリンを拠点に活動中。
2009年ロンドン芸術⼤学チェルシーカレッジオブアート・ファインアート学科卒業。
2015年フランクフルト造形美術⼤学シュテーデルシューレ修了。
https://www.maki-ishii.com/
Keiji Ishida
千葉県生まれ。現在は広島を拠点に活動中。
2009年ロンドン芸術⼤学チェルシーカレッジオブアート・ファインアート学科卒業。
2013年ロイヤルカレッジオブアート(ロンドン)修了。
https://www.keijiishida.com/keijiishida