
占星術師・青石ひかりさんによる新連載がはじまります。ほんの少し先の未来と、日々を美しく整えるためのことばたち―。見えないものを感じる時間が、今日の自分をやさしく照らしてくれるかもしれません。新しい季節の訪れとともに、心の中に新たな風を吹き込み、あなた自身の個性を輝かせるチャンスがやってきます。
風の時代
3~4年前からしきりと耳にするようになった「風の時代」ということば。風の時代の正体がなんたるかを知らずとも、なんとなく世界が変化しつつあるのを肌で感じはじめている人は増えているのではないでしょうか?
風の時代の前には、約200年続いた地の時代がありました。「必死に働いてお金を稼ぎ、老後にそなえること」が人生の意味だった時代です。それが2020年あたりから段階的に天体たちが移行し、2024年11月に完全なる「風の時代」がスタートしました(冥王星・水瓶座入り)。これから200年はもっと軽やかで、生きるために苦しんだり我慢したりせず、合理的なシステムのもとに楽しく生きてゆける時代になっていきます。
変化に強い女性にとっては素晴らしいことがたくさん起こりそうです。働き方や人生の組み立て方に選択肢が増え、窮屈な既成の枠組みに自分を当てはめる必要がなくなります。すべてのことを器用にこなさなくてOK。風の時代に求められるのは「個性」ですから、得意なことを究めていけば道は開けていきます。コンプレックスがチャームポイントに変わり、劣等感という諸悪の根源が消えていきます。
地の時代の価値観は、プラスティックの物差しのようなものでした。成績も美醜も直線的に並べられ、「エリートとそうでない人々」が区分けされて、「優れているか劣っているか」「可愛いか可愛くないか」を意識して、皆がうぬぼれたり悲観したりしていたのです。物差しの先と先、起点と終点が一緒になった状態を想像してください。円形の中にそれぞれの個性があり、くるくる回せば下にあったものが上にきて、すべてが均一の価値になります。有名大学や一流企業に入ることが「勝ち組」という考え方も、多様な価値観のひとつでしかない、という認識になっていくでしょう。
「本当はこわい風の時代」という説もあります。私たちは長年「社会=他者からの評価」というものに過敏になりすぎていたため、本当の幸せとは何かを見つけ出しづらくなっているのです。地の時代の始まりは、貧しさから身を守ることが何より大事でした。豊かになることで安心できる。もっと豊かになって、貧しいものにうんと差をつけよう…その思考の罠にはまってしまうと、途中で本質が見失われてしまいます。
本当の幸せはどこか? それは人生の最後にわかるものなのか? 年老いたとき大金持ちであれば幸福なのか? 風の時代は「いま」という瞬間を生きる感覚を磨く必要があります。直観や本能をよみがえらせることです。 年をとることは避けられません。かといって、若いことだけがいいという時代も終わりました。女性は長年、年齢や表面的な美の価値観に振り回されてきましたが、風の時代は「自分が幸せであること」が美の軸になります。無表情で、不安だらけで、実は自分が嫌いな「美人」にとってはなかなかしんどいです。まずは自分を愛すること…ここから風の時代のビューティーは始まります。
快さというものに対して、人々は長年偏った認識をもっていたのかもしれません。心が羽を伸ばし、ウキウキ躍るような状態になったとき、顔は輝きます。都会の電車の車内を見回すと、まだまだ人々の顔は暗い。もっともっと解き放たれて、みんながビューティフルになっていったら、地上は明るくなるでしょう。風の時代の宿題は、古くて重いオーラを脱ぎ捨てて、ピカピカのビューティーを手に入れることなのです。
青石ひかり
西洋占星術研究家。1994年から女性誌・一般誌を中心に占い連載を執筆。天体の動きと地球で起こる事象との関連について日々考察している。ELLE Japan ONTOMO WEB等で月間占いを連載中。水瓶座。
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