言葉を語る為の記号と記号を読む為の言葉

詩/白井優乃

2025.12.1

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割り切るために並べたスラッシュたちが

なだれこんでくる

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意外と重たい

」:

何を見ないふりしていたんだっけ

ひと息つくためのほうれい線と

転がって行きそうな文末

を留めるために私は喋りつづけて

〉逆さまに〈

 

 

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雪崩は止まった頬が火照る

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これはスムーズに滑るための

」:

留めようと思えば留まるし

笑顔のためには必要なほうれい線と

優しく置かれた文末

の続きは時を止める魔法

〉逆さまに〈

選評/環ROY

 

コンクリート・ポエトリー、日本語でいう視覚詩の一種だろう。

記号の持つ形が喚起するイメージに注目すると、記号は絵のように見えてくる。その意味で、視覚詩は言葉と絵が渾然一体となった拡張的な表現だと気付く。

基本的な詩の表現とは、活字を紙の上に定着させ、言葉を物質化する行為だ。その際、段落や改行、スペース、句読点によって、読みのリズムを視覚的に操作することがある。これは、詩の本質にデザインの要素が組み込まれていることを示している。

こうした解釈を突き詰めていくと、顔文字やアスキーアートのような表現にも行き着く。それらの現代的な表現の源流は、やもするとコンクリート・ポエトリーにあるのかもしれない。

この詩に導かれ、詩の言語以外の側面を意識しながら、日々何気なく使う言葉の便利さを思い返した。貴重な時間だと思った。